黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

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僕は落ちる

僕は落ちる
恋に落ちたのか?
崖から落ちたのか?
受験に落ちたのか?
信用が落ちたのか?
それは定かでない
ともかく、何かの拍子に僕は落ちたのである


僕は落ちる
そして僕は落武者だ
しかし刀は持たぬ
刀は人を傷つけるからだ
そこまで僕は落ちぶれていない
しかし僕は落武者であった


僕は落ちる
僕は地へと落ち、そして地から落ちた
地から落ちた後、空へと落ちた
重力は偉大だ
誰も重力には逆らえない
神でさえも


僕は落ちる
この世の果てに向かって
11次元の扉を開けるために
時間の鎖を引きちぎるために
落ちることを落とすために
僕が落ちたことを証明するために


僕は落ちる
落ちることは悦楽えつらく
落ちることは導きだ
僕は導かれるがままに落ちるだけだ
生きるとは導かれることなのだ
これぞ人生


僕は落ちる
──いや、そうではない
むしろ世界の方が昇っていた
相対的に僕は落ちている気がしただけだった
その真実に気づいてしまった時
僕は


膝から崩れ落ちた