2023-02-04 銀色の種 自作詩 虚無 ひび割れた荒野の 死んだ大地の上に 銀色の種を蒔(ま)く しあわせが育つように 川もなく森もなく 雨も降らないこの病んだ大地に 銀色の種を蒔く きぼうが芽生(めば)えるように 雨はなくとも涙がある 涙で大地を濡(そぼ)つかせれば 銀色の種は育つだろう よろこびはきっとそこにある 灼熱の光線が 万の矢となって降り注ぎ どんな植物の芽も射殺(いころ)す それでも銀色の種を蒔く 大地は病に伏(ふ)せっている 生命(いのち)を剥(は)ぎ取る土の匂いに 涙を流すことさえ叶わぬだろう それでもあえて銀色の種を蒔く ぜつぼうに打ちひしがれないために