黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

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列車

列車が走る
ビルをって、田畑をかき分け
どこまでもどこまでも……
川を越え、丘を穿うが
越境してそらを横断する
線路は果てしない
いく千もの駅を経て
もはや人の乗り降りもなくなり
それでも列車はひた走る
幾万もの無人駅を各駅で停まり
風を乗せて次の駅へ……
車窓から見える風景には
もう山も川もビルもなく
星や虹や幽霊や
4次元の音楽を無理矢理3次元に
押し込めたような
よくわからない紋様もんようが広がる
やがて列車は終点ターミナル
「お降りの際はお忘れ物のないようご注意ください」
骸骨の車掌が案内する
駅に着くと
そそくさと闇の群れどもが降りていく
そして駅で待っていた光の群衆が
今度はいそいそと列車に乗り込む
扉が閉まり、列車は再び走り出す
ガタンゴトンと揺れながら
今来た道を逆方向に
光を乗せて走ってく
長い長い列車の旅がまた始まる