黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

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自作詩

幸せと不幸せ

幸せは見えにくいけど 不幸せはよく目立つ 幸せは漠然としているが 不幸せはひどくあからさま 幸せはいつもそばにいるけど あまり気づきにくい 不幸せは不意にやってきては 全てをかき乱してく いつも当たり前にあったものが 突然奪われると、人は不幸せを感…

駄目人間讃歌

導かれるまま 流されるまま 風に吹かれて 舞い落ちる様(さま) そんな生き様 おひとり様 ぼくのわがまま 気の向くまま 石に躓(つまず)き 地面にひれ伏し 目先の利益に 無我に飛びつき 床(とこ)に突っ伏(ぷ)し 無意味に気づき 涙の杯(さかずき) 頬(…

メメント・モリ

地球があと何回周ったら おれは死ぬのだろうか? 時計の針があと何周回ったら おれは死ぬのだろうか? 心臓の鼓動があと何回鳴ったら おれは死ぬのだろうか? あと何本髪の毛が抜けたら おれは死ぬのだろうか? おれは死ぬまでにあと何回 ご飯が食べられるの…

全然、ぜんせ

釈然としない君の憮然(ぶぜん)とした態度に 当然、僕は唖然とする それは偶然だと君は整然と言うが 依然として僕は必然を疑う だから君は毅然(きぜん)と居直り 超然として断然、僕に非があることを 平然と責め立てる 慄然(りつぜん)する僕をよそに 忽…

いのちの狂乱

人間は欠陥だ 動物は無謀だ 生物は迷走だ 生命は狂乱だ いのちを燃やして他者を破壊し 他者を喰(く)らって結局死す 無意味無意味、あまりに無意味だ 存在そのものがあまりに無意味だ 繁殖の果てに何がある? 行き着く先は‘終わりなき闘争(エンドレス・フ…

あの僕

人生は選択の連続 であるからには日々は 何かを選び 代わりに何かを諦め 諦めた方の先に何があったのか それは“この僕”には 知る由(よし)もなく 僕はまた今日の選択をして 分岐点で“僕”が分裂する “この僕”が選ばなかった道は “あの僕”が行き “あの僕”は“…

宵の失調

月の光が僕を蝕(むしば)む 夜は危険だ 僕をReal(リアル)に繋(つな)ぎ止める 陽(ひ)の光が彼岸へ落ちる 日没は僕を置き去りにする さっきまでの僕は何だ? 昨日までの僕は誰だ? 自分の存在が嘘になる 過去の自分が他人に変わり 他人の自分が“僕”にな…

森の中

暗き森の陰気なさざめき 獣の咆哮(ほうこう)、闇を突く 瘴気(しょうき)に当てられ、小鳥は咽(むせ)び 野花(のばな)は影でほくそ笑む 月光に映(は)えるは、放浪の魂 泣訴(きゅうそ)の鼻声、不協和に沈む 凶逆(きょうぎゃく)の眼光、周囲を哨戒…

ぼくの箱庭

あなたの存在がぼくを苦しめる あなたの振る舞いがぼくを惑わせる ぼくの箱庭は平穏そのものだった 柔らかい芝生に小川のせせらぎ やさしい木陰に小鳥のさえずり ぼくはそれで十分だった 穏やかな自然に囲まれて 慎(つつ)ましく生きていればそれでよかった…

列車

列車が走る ビルを縫(ぬ)って、田畑をかき分け どこまでもどこまでも…… 川を越え、丘を穿(うが)ち 越境して宙(そら)を横断する 線路は果てしない 幾(いく)千もの駅を経て もはや人の乗り降りもなくなり それでも列車はひた走る 幾万もの無人駅を各駅…

労働

この世で最も罪深い存在は何だ? ──人類だ 人類の犯した最も重い罪は何だ? ──愛を知ったことだ 最も重い罪に対する最も重い罰は何だ? ──労働だ 左様。ゆめ忘れるなかれ 働くことは罪滅ぼしであることを 労働は人類への懲罰(ちょうばつ) 喚(わめ)こうが…

羊飼いの憐憫

人間は生まれながらにして罪を負っている 罪を贖(あがな)うために生きなければならない 生きることは罪滅ぼし 人生は禊(みそぎ)である 罪には罰を与えなければならない ゆえに人間は苦しまなければならぬ 誕生は罰であり、肉体は牢獄である 現実という名…

人間毒

僕の中には毒がある 僕の毒には味がある 苦味と酸味と憎しみと 苦悩と怨嗟(えんさ)の味がする 君の中にも毒がある 君の毒には闇がある 嫉妬にまみれた悪臭と 腐った失意の香(かおり)がする 彼の中にも毒がある 彼の毒には魔が宿る 誹謗中傷罵詈雑言(ば…

天使のささやき

奇跡はいつだって起きている ほら、今だって 幸運はどこにでも転がっている ほら、そこにも ──なんだって? そんなものはないって? そうやすやすとは起こらないって? そんな簡単には見つからないって? ──まったく、哀(あわ)れな存在だな君は 何のために…

朝食

窓の外の景色を眺めながら 今日も僕はパンを食べる 枯れ葉の落ちきった木々が枝を広げ 寒空の下に佇(たたず)んでいる 何か皆で万歳をしているみたい 乾いた青空の中をわた雲が 行く宛(あて)もなく静かに流れていく 僕の人生と同じように おかげで地球が…

とある不幸な中学生の戯言

サイコロを振る 5の目が出る それは偶然か、必然か? 6分の1の確率で たまたま5の目が出たに過ぎない 本当にそうなのか? なぜ4や6ではなく 5の目が出たのか? 1や2や3ではなく なぜ5が選ばれたのか? ここで5の目が出たことは ひょっとして 予(あらかじ)…

毒を吐くキミ

どうしてキミはそんなに毒を吐くのか 毒を撒(ま)き散らすのをやめたまえ キミの毒によって皆が苦しむ 環境が汚染され、腐敗が進む 環境はキミだけのものではない 大勢の者が共有する公共財だ それを汚染すればどうなるのか キミにはわからないのだろうか …

存在と“境”

存在すること それは“境”があるということ テーブルがあって、イスがある コップがあり、コーヒーが入っている 部屋がある 私がいる 窓があり、窓の外には緑がある それらは皆、“境”によって区切られている テーブルとイスが区別される コップとコーヒーが区…

“塔”

階段を登る コッツン…コッツン… 響きわたる靴の音 永遠に続くらせん階段 ひたすらに僕は登り続ける ここは巨大な“塔”の中 最果ての荒野に聳(そび)え立つ 天まで貫く巨大な“塔” 窓一つない白い“塔” 地上にある唯一の入り口 入ってみると何にもない 壁面に沿…

必然

抜けていく こぼれていく 掴(つか)み取っても 掴み取っても 隙間から 端(はし)から 滴(したた)り 垂れ落ちていく 布をかぶせても 囲いで覆(おお)っても 切れ目から 抜け穴から 漏れ 溢(あふ)れていく 密閉しようが 封印しようが 狭間(はざま)か…

君の白は僕の黒

君の白は僕の黒であり 君の愛は僕の憎しみである 君の笑顔は僕の涙であり 君の誠実は僕の不実である 君の子宮は僕の魂であり 君の正解は僕の間違いである ねぇ君、わかるでしょう? そういうことなんだよ 君は僕の皮膚を見て 僕は君の臓腑(ぞうふ)を見る …

一汁一菜野菜息災

一体全体古今東西 無病息災白菜絶対 四方八方七転八倒 万歳三唱玉葱全勝 粉骨砕身猪突猛進 以心伝心人参肝心 悪疫退散家内円満 開運招福椎茸満腹

意味の万華鏡

意味が押し寄せる 過剰な意味が荒波となって ボクの脳みそに打ち寄せる 意味に意味が重なって 意味の地層ができあがる 地層は固まって定義となる しかし意味の横溢(おういつ)は止まらない 解釈の防波堤は決壊を起こし 挙(あ)げ句(く)は無意味が意味を…

希求の旅

一粒の光の宝玉(ほうぎょく)を求めて 果てしない荒野を彷徨(さまよ)う 手がかりは、あの太陽 陽の沈む方に向かって ひたすらに歩く 《あの丘》を越えた先にきっとある…… 一滴の幸福の雫(しずく)を求めて 茫洋(ぼうよう)とした海を渡る 手がかりは、…

逃走

時刻が迫(せま)る それはおれの背中をナイフで ひと突きにしてやろうと 常に狙っていやがる いつもおれの背後を付け回り おれを殺そうと企んでいる しかしそいつの姿を 見たことはない みえないナイフをぎらつかせながら 明白な殺意をもって おれを狙い続…

たわし犬

犬が話しかけてきた それは黄金の毛皮をまとっていた …というのは嘘だ それは小汚い、たわしのような短い毛の犬だった 首輪もリードもついていないその犬は さびれた公園の、砂場の傍(かたわ)らで 人生への失望と、世の中への憤怒を 滾(たぎ)らせたよう…

希望の等価交換

焼け爛(ただ)れた白い手の中に、希望を、握りしめ、深い洞窟の中に走って逃げていく、ぼろきれを纏(まと)った少年、の傍(からわ)らにはいつも、死の妖精たちがブンブンとたかり、少年の最後の、希望を、根こそぎにしようと、ツケ狙っている、、、洞窟…

世界平和

世界から 苦しみや悲しみが なくなってしまえばいい 不安も不幸もない世界 あらゆる負の要素を除去した世界 影のない世界 影のない世界は光のない世界だ 人々は何の痛苦(つうく)も知らない 何の悲しみも喪失も知らない 比較するものがないから 何が希望な…

物語戒厳令

物語を引き裂こう ‘終わり’に支配されないために 筋(すじ)を切り、展開を爆破せよ 起承を転結 させてなるものか 時間軸を引き抜くべし 過去から未来への輸送路は閉鎖する! 心理はかく複雑であれ 都合よく恋に落ちるな 運命という戯言(ざれごと)は発禁と…

コンクリートと梅干し

こんなところまで来るんじゃなかった 虚空の失望にふきさら(・・・・)されて 憧れだけをよすが(・・・)にするから いけないのだ 何もかもをかなぐり(・・・・)捨てて あるべき場所を飛び出したのに たどり着いたのは ぼくとつ(・・・・)とした無意味…