あなたの存在がぼくを苦しめる
あなたの振る舞いがぼくを惑わせる
ぼくの箱庭は平穏そのものだった
柔らかい芝生に小川のせせらぎ
やさしい木陰に小鳥のさえずり
ぼくはそれで十分だった
穏やかな自然に囲まれて
しかし、あなたがやってきた
唐突にぼくの箱庭に迷い込んだ
ひと目見た時から
あなたのその美しさに、可愛らしい歌声に
ぼくの心は
以来、ぼくの目は衰えた
澄んだ青空も
新鮮な感動を与えなくなった
ぼくの耳も衰えた
小川のせせらぎも小鳥のさえずりも
ただのノイズにしか聞こえない
あなたの笑顔を見ることでしか
ぼくの目は
あなたの歌声を聴くことでしか
ぼくの耳は満たされない
穏やかな自然が
ひどくつまらないものに感じる
ぼくの箱庭に欠乏が生まれる
あなたのせいだ
あなたがぼくの箱庭に
足を踏み入れなければよかったのに
あなたの存在は罪だ
罰としてあなたを永遠に
ぼくの箱庭の中に閉じ込めておきたい
だけどもそれは出来ぬ相談だ
ぼくは無力だ
あなたの存在の前にぼくは無力だ
あなたを留めておくことなど出来ない
ぼくの箱庭はもうおしまいだ
あなたが足を踏み入れた時点で
もう終わってしまったのだ
さようならぼくの箱庭
これからぼくはこの箱庭を燃やします