黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

自作詩を載せるブログ TikTokで朗読もやってます

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彼我

メメント・モリ

地球があと何回周ったら おれは死ぬのだろうか? 時計の針があと何周回ったら おれは死ぬのだろうか? 心臓の鼓動があと何回鳴ったら おれは死ぬのだろうか? あと何本髪の毛が抜けたら おれは死ぬのだろうか? おれは死ぬまでにあと何回 ご飯が食べられるの…

あの僕

人生は選択の連続 であるからには日々は 何かを選び 代わりに何かを諦め 諦めた方の先に何があったのか それは“この僕”には 知る由(よし)もなく 僕はまた今日の選択をして 分岐点で“僕”が分裂する “この僕”が選ばなかった道は “あの僕”が行き “あの僕”は“…

宵の失調

月の光が僕を蝕(むしば)む 夜は危険だ 僕をReal(リアル)に繋(つな)ぎ止める 陽(ひ)の光が彼岸へ落ちる 日没は僕を置き去りにする さっきまでの僕は何だ? 昨日までの僕は誰だ? 自分の存在が嘘になる 過去の自分が他人に変わり 他人の自分が“僕”にな…

羊飼いの憐憫

人間は生まれながらにして罪を負っている 罪を贖(あがな)うために生きなければならない 生きることは罪滅ぼし 人生は禊(みそぎ)である 罪には罰を与えなければならない ゆえに人間は苦しまなければならぬ 誕生は罰であり、肉体は牢獄である 現実という名…

とある不幸な中学生の戯言

サイコロを振る 5の目が出る それは偶然か、必然か? 6分の1の確率で たまたま5の目が出たに過ぎない 本当にそうなのか? なぜ4や6ではなく 5の目が出たのか? 1や2や3ではなく なぜ5が選ばれたのか? ここで5の目が出たことは ひょっとして 予(あらかじ)…

異世界転生

ある日僕は悟ってしまった これまで‘現実’だと思っていたこの世界が 実は“異世界”だったのだ、と 僕はどこか別の世界から この罪深き邪悪な世界に ‘転生’されてきたのだ、と 前々からおかしいとは思っていたんだ なぜこの世界はこんなにも 文明レベルが低い…

自己愛歌

《私》へ── たとえ何が起ころうとも 私は決して私を裏切らない たとえ誰にも好かれなかったとしても 私は私を好きでい続ける たとえ富も地位も名声もなかったとしても 私は私を受け入れる たとえ私が何者にもなれなかったとしても 私は私でよかったと断言す…

自分

極寒の南極にひしめくペンギンの群れ サバンナを行軍するヌーやシマウマの群れ 季節ごとに移動するチドリの群れ それぞれの生物種にそれぞれ固有の生き方がある 遺伝子に刻みつけられた宿命 何者もその宿命から逃れることはできない ペンギンはシマウマのよ…

天国への切符

あなたは天国へ行きたいですか?どうして天国へ行きたいのですか?天国へ行けば楽に暮らせるとお考えですか?天国へ行けば、あれやこれやの苦しみから解放されるとお考えですか?あなたは、天国には何か楽しいイベントやアトラクションがたくさんあると思い…