黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

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自己愛歌

《私》へ──


たとえ何が起ころうとも
私は決して私を裏切らない


たとえ誰にも好かれなかったとしても
私は私を好きでい続ける


たとえ富も地位も名声もなかったとしても
私は私を受け入れる


たとえ私が何者にもなれなかったとしても
私は私でよかったと断言する


《私》よ


私だけはお前を絶対に裏切らない
私だけはお前を生涯愛する
私だけはお前を何度でも肯定する
私だけはお前をいつでも抱きとめる


だから《私》よ


決して自分を傷つけるなかれ
決して自分を否定するなかれ
決して自分を無価値な存在だと思うなかれ
決して自分を殺すなかれ


お前は生きているじゃあないか
お前は労働しているじゃあないか
お前は納税しているじゃあないか
お前は法を守っているじゃあないか


もう既にお前は立派だ
なぜに自分をとぼしめる必要がある?
なぜにそれ以上を求める?
なぜに何者になろうともがき苦しむ?


お前はお前の生を生きればいい
それでいいじゃあないか


《私》よ


私はお前をいつでも見ているし
私はいつでもお前を認めている
だから頑張れとは言わない
しかし頑張らなくていいとも言わない


大丈夫だ、《私》よ


私がいつもついているから
私がいつも支えているから
私がいつも居場所になるから


だから安心しろ


そして生きよう
とりあえず生きよう
とりあえず死ぬまで生きてみよう


きっと素晴らしい景色が見られるから


私からは以上である