2023-04-19 羊飼いの憐憫 自作詩 彼我 人間は生まれながらにして罪を負っている 罪を贖(あがな)うために生きなければならない 生きることは罪滅ぼし 人生は禊(みそぎ)である 罪には罰を与えなければならない ゆえに人間は苦しまなければならぬ 誕生は罰であり、肉体は牢獄である 現実という名の監獄へ収容されたし 囚人たちへの娯楽も多少は必要であろう ならば《愛》を与えよ 適度な(・・・)愛を彼らに与えてやりましょう さすれば彼らの不満もある程度はおさまる 人間は言葉をもった羊である 犬の代わりに言葉で彼らを導くのだ 言葉の他に彼らは何も知らないのだから 人間──この憐れな羊たち 私はそんな人間を愛している