黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

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朝食

窓の外の景色を眺めながら
今日も僕はパンを食べる
枯れ葉の落ちきった木々が枝を広げ
寒空の下にたたずんでいる
何か皆で万歳をしているみたい
乾いた青空の中をわた雲が
行くあてもなく静かに流れていく
僕の人生と同じように
おかげで地球が回っていることを感じる
僕はコーヒーをすす
いつもの苦味が舌から脳へ伝わる
もう飽きるほど飲んだ味なのに
今日もこの一杯を求めている
地球が毎日回るのと同じことか
今食べているこのパンは
体内で分解され
必要な栄養素が取り込まれ
不要なものは糞便となって排泄される
そしてまた必要な栄養素をるために
僕は明日もパンを食べるのだろう
僕の存在もこのパンと同じか
国家は僕から税金をむしり取って
老いて不要になったらおはらい箱
そしてまた新たなパンから
税金をむしり取るのだ
それでも地球は回っている
それでも僕はパンを食べる
それでも僕はコーヒーを啜る
そしてあの木々のように僕もまた
万歳しながら枯れていくのだ