黙夫の詩の菜園 言葉の収穫

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去り行く

月日は過ぎ去ってきました…


木陰こかげの隙間からのぞかせる日光の
あの暖かい微笑ほほえみは
過ぎ去って行きました…


一面に広がる麦畑を揺らす
あのさざなみのような優しいそよ風は
過ぎ去って行きました…


せわしない雑音でにぎわう
あのざわざわとした都会の喧騒けんそう
過ぎ去って行きました…


何もかもが初めてで新鮮な驚きに満ちていた
あのわくわくするような子どもの冒険は
過ぎ去って行きました…


難解な数式を幾重いくえにも織り込んでつむいだ
あの感動するような神秘の解明は
過ぎ去って行きました…


観覧車の頂上てっぺんから見下ろす夜景とともに君と交わした
あのどきどきするような柔らかな君との口づけは
過ぎ去って行きました…


月の裏側からそらへ向けて放たれた
あの希望を載せた有人探査機は
過ぎ去って行きました…


いつも自分のそばに居てくれた相方の
あの当たり前に感じていたもふもふとしたぬくもりは
過ぎ去って行きました…


月日は過ぎ去って行きました…
私の人生は過ぎ去って行きました…
いくつもの人生は過ぎ去って行きました…
ひとつの文明が過ぎ去って行きました…
あらゆる生命が過ぎ去って行きました…
星々や銀河が過ぎ去って行きました…
何もかもが過ぎ去って行きました…
何もかもが過ぎ去って行きました…